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1812年にオランダのD.ウィンケルによって発明されたメトロノームは、1816年に特許を取ったJ.メルツェルによって精力的に拡販されました。

発明家でもある商売人の彼が考えたメトロノーム拡販作戦の内容とは?

それには当時の大作曲家ベートーヴェンが関係していたようです。

 

メトロノームとべートーヴェンの関係は?

メトロノームを拡販するために、メルツェルがその使用を強くすすめた作曲家がドイツの「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770~1827)」です。

すでに難聴となっていたベートーヴェンにとっても、目でリズムを確認できることは非常に助かります。

早速、過去の作品のテンポを測定して新聞紙上で公開しました。

 

楽譜にテンポを記入する手法が一般的になるのは、このベートーヴェンとメトロノームの出会いが契機となったようです。

現在の感覚ではベートーヴェンの決定したテンポが、本当に正確であるかについては議論の余地があるようです。

それは指定されたテンポで演奏すると、その曲の持っているイメージにそぐわない場合があるからです。

しかも曲によってはイメージに合致したテンポを指定していることもあり、その理由は不明です。

 

ベートーヴェンにとってメトロノームの使用は必然

難聴のベートーヴェンがメトロノームの存在を知った時の喜びは、かなり大きなものだったでしょう。

例えそれが湿度などの影響を受ける可能性がある初期のメトロノームだったとしてもです。ベートーヴェンの曲は、現在では楽譜に指定されたテンポ通りには演奏されない場合もあるようです。

それはオーケストラの指揮者や演奏者が、その曲をもっとも効果的に演奏するために、指定されたテンポを無視するケースがあるからです。

 

それでも、メトロノームの導入によって感覚的な表示から数値によってテンポを明確に指定する方法へ変わったことは評価できるところです。

現在でもベートーヴェンによるテンポの指示には異論があるようですが、なかには明らかに出版社による楽譜の誤記であることが判明した曲もあるようです。

死後にも話題を残すところは、ベートーヴェンらしいところですね。

 

メトロノームの現在

現在ではメトロノーム抜きの音楽制作はあり得ないでしょう。

演奏家がかならず利用するメトロノームは、全世界に普及しているツールとなっています。もっとも昔から利用されている振り子式のタイプは少なくなったようです。

それはスマートファンなどのアプリによって、さらに精度の高いテンポを刻むことが可能となったからです。

当時ベートーヴェンがメトロノームに対する見解を書いた手紙によると、それまでのテンポ表示が不明確であり、メトロノームによって「最良のチャンス」を与えられたとの認識を示しています。

 

実際に自分の作品のテンポを決定する作業には、ベートーヴェンもかなり苦労したようです。

なかには最後までテンポを表示できなかった曲や、出版社の判断でテンポ表示を行った楽譜もあったようです。

現在のベートーヴェンの作品に記載されているテンポ表示の多くは、彼の弟子であった複数のピアニストが中心となって作成したものです。

その表示はベートーヴェンの演奏を聴いた彼らの記憶に従って設定されているようです。

運命のいたずらか?メトロノームとべートーヴェンの意外な関係

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