テレビの音楽番組では絶対に演奏できないような長い曲が入った音楽作品は、果たして売れるでしょうか?

テレビで演奏できなければ宣伝する方法が限られるため、かなり悲惨な売り上げになりそうです。

ところが、このような常識をあっさりと覆すロック・バンドとなった「ピンク・フロイド」が存在します。

1曲で20分もかかるような音楽が売れるとした、それはどのような内容でしょうか?

 

ピンク・フロイドの世界とは?

1967年に英国でデビューしたロック・バンドが「ピンク・フロイド(Pink Floyd)」です。

当時のメンバーはバンドリーダーとして曲を書き、ギターとボーカルを担当していたシド・バレット、ベース担当のロジャー・ウォーターズ、キーボード担当のリチャード・ライト、そしてドラム担当のニック・メイスンでした。

 

このバンドの音楽は当初は「サイケデリック・ロック」とも表現される当時流行していたスタイルでした。

これはドラッグによって発生した幻想体験を歌詞と演奏で表現する手法であり、当時すでに人気バンドであったザ・ビートルズの中期の作品でも採用されているスタイルです。

ところがリーダー的な存在であり曲も書いていたシド・バレットが薬物の影響によって活動できなくなりました。その代役としてギタリストのデヴィッド・ギルモアが加入したあたりから壮大なドラマがはじまります。

 

ピンク・フロイドの度重なるリーダー交代劇

結局、シドが抜けたことによって特定のリーダーが不在となり、作風も大幅に変わりました。

他の音楽ジャンル(クラシック、ジャズなど)の強い影響を受けた大作主義と、深い意味を込めた独自の歌詞が展開する世界です。

その結果、現在では「プログレッシヴ・ロック」の代表的なバンドとして高い評価を受けながら、長く音楽業界に君臨する存在となっています。

理想的な音楽を追求するためには、制限がない方が良いことは理解できます。しかし1曲で20分を超えるような音楽スタイルを一般的なファンは理解できるでしょうか?

 

当時の音楽ファンが、その新感覚の音楽スタイルを理解するレベルに達していたことが幸いして、難解な内容のアルバムが飛ぶように売れる時代がやってきました。

この時期にもっとも売れたアルバム「The Dark Side Of The Moon(邦題は「狂気」)」は米国だけで1500万枚以上売れました。

その後米国ヒットチャートの上位100位内に約15年間(741週間)も連続してランクインするという途方もない記録もつくりました。

その後はロジャー・ウォーターズがリーダー格としてバンドの方向性を決定するようになりました。音楽性の面でも大作主義からシンプルなものへと変わっていきます。

最終的にはそのロジャーもバンドを脱退してしまい、ギター担当のデヴィッド・ギルモアが3代目のリーダーとしてバンドを継続させることでドラマは続きます。

 

ピンク・フロイドの最後を迎えて

2008年の9月15日に亡くなったリチャード・ライトの追悼アルバムのリリースによって、このバンドの歴史が終ったことを明言したデヴィッド・ギルモアが最後の船長となりました。

それまでの3分間だけ楽しめるロック音楽を大きく変革したことは、ロックの歴史にとっても非常に大きな出来事です。

その影響によってロックもクラシックなどの分野と並び称される存在となりました。

このように難解で万人受けしないスタイルの音楽であっても、商業的に成功できることを示した点も高く評価すべきです。

ピンク・フロイドにより構築された世界、新しいスタイルのロック

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