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ヒット曲をだして評判になっているロックバンドのコンサートに行ったら、延々と即興演奏を続けて本来は3分のヒット曲が10分以上演奏された。

このような状況は現在でもあまりないでしょう。そもそも演奏しているメンバーの判断でそのようなことをすれば、そのバンドメンバーはすぐに職を失います。

その前に演奏技術が低ければ、お客さんが帰ってしまいます。

現在でもあり得ないことをしていたロックバンドが過去に存在していました。それは短期間でも大きな影響を後のロック業界に与えたスーパーバンド「クリーム」です。

 

クリームは3人で構成されたバンド

1966年7月に英国で結成された「クリーム」はギター担当のエリック・クラプトン、ベース担当のジャック・ブルース、ドラム担当のジンジャー・ベイカーという最小限のメンバーで構成されたロックバンドです。

しかし、その音楽スタイルはロックというジャンルをそれまでよりも大幅に拡大するものでした。

もともと加入前から有名なミュージシャンであった3人は、それぞれがバンドの主役としての力量とプライドを持っていました。

 

スタジオでは標準的な演奏時間のシングル曲を録音していました。

ところがステージの上では羊の皮を脱いだ狼のように、本当の姿を表します。1曲あたり10分以上にわたって非常に高いレベルの即興演奏を繰り広げる様子は、当時大きな話題になりました。

商業的な要素が強い当時のロックバンドでは、シングル・レコードに収まる演奏時間の曲をレコードと同じように再現できれば、演奏者としてそれ以上の技術をステージで見せる必要はありませんでした。

 

クリームは3人のエゴをエネルギーに

それまではメンバーの一人を全面に立てて、他のメンバーはそれを後ろで引き立てる役目を担当するスタイルがロックの世界では一般的でした。

その常識を破るだけではなく、各メンバーが好きなだけ即興演奏を繰り広げるという演奏スタイル。

全てが常識外れであり、同時に新鮮なものでした。各メンバーがもともとブルースの世界の住人であり、即興演奏で観客を満足させるだけの技術を持っていたことでバンドのカラーが決定した訳です。

 

元々強い個性の3人が組んだバンドですから、特にリーダーを決めることもありませんでした。

お互いの持ち寄った新曲と、過去に他のアーティストが演奏していたブルースナンバーをステージ上で演奏していました。

つまりステージ上でそれぞれの個性がぶつかって化学反応が発生した結果として、後世まで残るような名演奏が残されたと言えるでしょう。

 

クリームは短期間で解散、しかし大きな遺産も

エリック・クラプトンの希望によって、ジンジャー・ベイカーが自分とかなり仲の悪かったジャック・ブルースをメンバーに誘ったというバンド結成時の事情があります。

そのような緊張関係が当初から存在したバンドであるため、結局は約2年半で終わりを迎えることになりました。

ヒット曲を出すだけの作曲能力と同時に、ステージ上の即興演奏でファンをうならせるだけの力量をメンバー全員が備えているロックバンドの存在。

これはその後のロックバンドに大きな影響を与えました。クリーム的なバンドになることを目標とした新しいバンドの登場によって、その後のロックミュージックは大きく発展しました。

ロックとブルースの融合とは?クリームの提供した新世界の可能性

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